記憶の作り方の違い
頭がいい人はどのようにしてものを覚えているのでしょうか。一瞬で記憶したり、過去のことをしっかり覚えていたり、頭の中に記憶を残すのがうまい人がいると思います。このような人たちはどのようにして記憶しているのでしょうか。
頭がいい人はそうでない人に比べて記憶の作り方が少し違いました。
オレゴン大学の研究でIQ が高い人たちの特徴を調べたという研究があります。79名の男女を集めて全員の流動性知能をチェックしました。 モニターの色々な場所に複数の画像を同時に次々と表示させ、それを可能な限り覚えるようにお願いし記憶のテストを行いました。
そこから、頭がいい人とそうでない人の記憶のしかたにどのような違いがあるのかということを調べたものです。
その結果、頭がいい人は色々なものを瞬時に覚えることが得意だということが分かっています。これはワーキングメモリーの能力が高い人の特徴です。ワーキングメモリーは短期記憶能力を司っているもので、集中力やメンタルのコントロールに関わっているものです。これは後天的に鍛えることができる数少ない脳の力のひとつでもあります。このワーキングメモリーの能力が高いので、全体をなんとなくこんな感じだったと瞬時に記憶するのが得意なわけです。
ただし、頭が良くても画像がモニターのどの場所に表示されたかという位置を覚えるのは苦手でした。表示された複数のものを瞬時に把握することはできても、どの場所にそれがあったかというところまで覚えることは頭がいい人もできなかったわけです。
ざっくり全体像を把握する
ちゃんと記憶をしようと思うと、細かいところばかりを気にしてしまいますが、頭がいい人はそうではなく、ざっくりとした全体像を頭に入れるのがうまいということです。
細かいところに関しては、後から忘れたら復習したり記憶し直せばいいと考えるわけです。
研究チームの結論としては、頭がいい人の記憶は質よりも量だとしています。僕たちは細い一つ一つの部分に注目してしまいがちですが、頭がいい人たちはざっくりと全体像を把握して、細かいところに関しては必要に応じて埋めていくという方法を使うわけです。
一度で全てを覚えようとしない
これは本の読み方にも応用することができます。
本を一字一句最初から最後まできっちり読もうとしたり、テキストでもノートを取りながら一生懸命読んだり付箋や書き込みをしながら読もうとするよりも、どちらかと言うと、ざっくりと内容を把握しようとまずは気楽に読んで、それから自分がもっと知りたいとか必要だと感じたところを必要に応じてチェックしていくほうが効率的だということです。
1回読んで全てを頭に入れようとするのはもったいないということです。それができるのは特殊な能力を持っているような人だけです。
そうではなく、全体像を把握してどこに何が書いてあったかとか、ざっくりとどういうことが書いてあるのかということだけを把握して、必要に応じて戻ればいいわけです。
僕も色々な文献や論文を読んだりしますが、すべてを一度で記憶しているわけではありません。知識を紹介したり人と話している時に細かい部分を補充して、それにより忘れていた知識が埋められて使える知識になっていきます。
細かい部分まで一度に全てを覚えようとすると挫折しやすくもなってしまいます。何度も繰り返すことが大事だということです。