流されやすい人とはどういう人かというと、自分の意見がなく、すぐYESと言ったり意見をすぐに変えたりする人です。
面倒なタイプの人ですから、このような人とおつきあいするのは嫌がる人も多いですが、考え方を変えると、とてつもなく操りやすい人なんです。
こんな人達を、自分の人生をより良くするためにうまく操ることを考えてほしいです。ちょっとダークな心理学ですね。
こういう人は実は思っているよりも多くいます。
30%の人たちは明らかに間違っていても流される
30%の人たちは明らかに間違っていても流されるという悲しい特性を持っています。
心理学者のソロモン・アッシュの実験でわかっていることですが、明らかに間違った答えであっても30%の人は流されてしまいます。
どういう実験かというと、線が何本かあって長さが違います。4~5人の内一人を除いて全員仕掛け人です。どの線が長いかという質問をしていきます。仕掛け人たちは短い線を指して一番長いと答えるます。その時に本当の被験者のひとりは、正しい答えを答えられるのか?自分の思ったままの答えを言えるのか?それとも周りに流されてしまうのか?という実験です。
アッシュの同調実験と呼ばれる有名な実験です。
長いか短いかという、明らかに目で見ただけでわかる質問にも関わらず、30%もの人が周りの意見の同調して短いものを長いといい切ってしまうわけです。
影響力の武器では、社会的証明とか同調圧力という言葉で紹介されています。
つまり、間違っていることを間違っていると言える人はそれぐらい少ないということです。
皆さんの周りにも3割ぐらいはそういう人がいるわけですから、同調圧力を使えば思うようにコントロールできるわけです。
皆んながこう言っているとか、皆んながしているという、社会的証明を使うことで傾く人がそれだけいわけです。
データや根拠より印象だけで流される人々の取扱説明書
ぼくはよく根拠になるデータを使って説明したりします。説得力は上がると言われます。
ところが、実際はデータよりも印象によって流されやすいものです。
合理的、論理的な人たちはその根拠から理解し納得するわけですが、そうでない人たちは印象で左右されやすいわけです。
そのような、自分の経験がすべてだと思っていたり、感動できるストーリーがあったらそれをデータよりも感情に左右されてそれを他にも当てはめようとする人がいます。
実際の感覚とデータは異なっています。
見えないバイアスがかかっているわけです。そのバイアスを取り除いて知識を皆で使えるようにしようというのが統計であり、それが科学の素晴らしいところです。
ところが、人間はデータよりも印象に左右されてしまいます。ですから、データも大事なんですが、印象も大事にする必要があるということです。
しゃべり方とかの印象の作り方も大事なんです。
海鳥保護の寄付を募る時に、示した海鳥の数によって寄付額は変わるのかという実験がありました。
- 2,000羽の海鳥を保護するための寄付
- 20,000羽の海鳥を保護するための寄付
- 200,000羽の海鳥を保護するための寄付
と、3パターンでどの表現がもっとも寄付を集めることが出来るのか。
- 2,000羽の時は一人あたり80ドル
- 20,000羽の時は一人あたり78ドル
- 200,000羽の時は一人あたり88ドル
と、鳥の数とは関係がなかったという結果です。
人間は論理的に判断しているわけではなく印象によって行動を決めています。単なる印象によって決めてしまっています。
印象です。どのように見せるかということも大事です。
具体的には、ストーリーをもたせたり、同じ言葉でも表現の仕方を変えたりして、どのように印象を伝えるかが大事です。
そのために、比較対象や選択肢をデザインすることも大事になります。
選択肢のデザインで狙い通りの結論に誘導するには
比較対象や選択肢によって印象をコントロールすることによって人をコントロールすることが出来ます。
シーナ・アイエンガー博士が行ったジャムの実験があります。
選択肢が多くなったほうが人間は集まりますが、選択肢が少なくないと購入に至らなくなります。
試食24種類の時は3%、試食6種類の時は30%がジャムを買いました。来たお客さんの数は24種類の時のほうが多かったんですが、売上は6種類のほうが8倍高かったんです。
人間はたくさんある選択肢に惹かれるんです。ところが実際に選ぼうとすると選択肢が多すぎると選べないわけです。
たくさんあることをアピールした上で選択肢を絞ってあげると良いです。
選択肢を絞って行動を促すことにも使えますし、逆に選ばせたくない場合や、変更させたくない場合、思いとどまらせたい場合などには選択肢を増やせば良いということになります。
心理学は、あらゆる場面でこのように両面で使うことが出来ます。